申請エリアの過半が除外されたため2つの近隣計画策定エリアになってしまった困った問題(近隣計画をめぐる新トピック(4))

やや「珍現象」的にもみえる課題が話題になっています。とはいえ、ある意味「近隣計画」の本質にもかかわる内容を含んでいるので、その視点からとりあげます。
ロンドン西にあるOld Oakは、工場用地や鉄道敷地や住宅が混じるエリアのため、「Old Oak and Park Royal Development Corporation」という開発公社が再生に取り組むエリアになっています。Old Oakの住民らが近隣計画を立てようと、広大な公社管轄区域も含む近隣計画エリアを申請することにしました。ほとんどの用地は公社管轄区域ですが、イースト・アクトン駅を含む住宅地はそのエリアをはずれていてハンマースミス区に属しています。そのため、前者のエリアは公社に、後者のエリアは地元区に区域申請をしたところ、前者エリアの大半は戦略的な土地ばかりで近隣計画には馴染まないと大幅に削られ、いびつな形をした小区域に。その結果、認められた地元区エリア分と離れ離れの2つの区域に。そのため、一体として申請していた計画主体となるフォーラムの申請が却下されてしまいました。2017年9月のことです。フォーラムが認められる条件の1つに「21名以上」のメンバーが必要なのですが、エリアが2つに分かれてしまったため人数が足りないと判定されたためです。こうした場合どうやって近隣計画を策定すればいいのか、、

話題は以上のとおりですが、近隣計画と都市計画との関係でみるとどうでしょう。
こうした開発公社がかかわる場所のような、土地利用が混在しかつ大きな土地利用変化が起こっているような場所・場合に、「近隣」計画はどうあるべきか。指定案の縦覧が6週間あり、大規模土地所有者から異議が寄せられてそれらの土地を除外した結果きわめていびつな形になっています(開発公社内)。けれどもOld Oakという地域コミュニティはあるので、「近隣」計画を立案する権利はある。離れ離れとなった2つのエリアはさほど離れていないので、無理して線を引っ張りつなげてしまえばいいのではないかと考えたりしますが、それも野暮な話。問題の本質は解決できません。
実は、少し前に紹介した「英国初の本格的シェア・アパートをめぐる話題」で出てきた「The Collective Old Oak」も公社内に生き残った近隣計画指定エリアに微妙に入っています。新しい「近隣」像の模索も含めて、イノベイティブな取り組みが行われるものと期待するのがよいのかもしれません。