アベニュー/ストリート/ブロック(その2)

この3月にポートランドに行く際、60メートル四方の小さな街区に驚いたというのが前回の話(⇒関連記事)。
先週、とある仕事の帰り道。関西からきた専門家A氏が、「大阪の街区が70メートル角のため開発が滞っている面がある」と。文献によれば「40間」とされるこの街区の寸法。70メートルとして掛け算すると4900㎡。ポートランドの60×60=3600㎡に比べれば大きいですが、シアトルの(約)80×80=6400㎡に比べると4分の3ほどの大きさです。
最近再開発ラッシュの東京では標準街区が60間四方(話を単純化して100メートル角とする)とすると、(実際には街区内が分割されているとしても)10000㎡をどう使うかの自由度は高くなり、また、大きなビルも建てられる分、開発はしやすいのかもしれません。最近オープンした「GINZA6」をはじめいくつかのビルは、(ビル同士を上空で歩廊でつなぐのではなく)街区をまたいだビルを上空に建てているくらいです(銀座の場合は明治初期の都市計画で方形の街区がタテに2分割され、GINZA6はそれを元に戻した格好)。
そもそも日本では震災・戦災復興土地区画整理事業が行われなかった場所では「街区」すら形成されていない場所も多く、また、過去に都市計画を実施したとしても街区の寸法が現代のニーズに合わない場所も。東京でも震災復興により再生した下町の街区はとても小さい。市街地創造論でも取り上げた高松の市街地は「ひとつひとつの街区規模が小さく、細街路が密度高く配置されており、現在の土地利用ニーズには必ずしも合致していない。」(国土交通省資料による)などとされます。秀吉は当時の京都の街区が大きすぎたため、経済活性化のため、方形の街区の中央をタテに貫通する街路をたくさん通しました(天正の地割。これによりタテ120m、ヨコ60mの街区となる)。

街区が大きすぎるとそれを分割したり路地を通したりとの方向に力が働き、街区が小さすぎるとそれらを上空でつなげたり街区自体を統合したりする力が働く。一方、街区が小さい場合は街並みもほど良い加減になりやすいと考えられるのに対し、大街区になりすぎると持続性に欠ける面も出てくる。

60メートルのポートランドに驚いたあと70メートル(40間)の大阪の話を聞いて、書き留めておこうと思った次第です。

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・アベニュー/ストリート/ブロック
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20180313/1520913232