短中長期の滞在が可能な住みたい都市

2018年6月15日。「民泊新法」が施行されました。インバウンド需要に本格的に応えるためには、まだまだ課題がありそうです。
ここでは、どのような滞在期間でも「はい、どうぞ。楽しく滞在してくださいね。」と対応できる都市が「選ばれる都市 」ではないか、との視点から、自己体験をベースに、滞在機能を5段階に分けて考えてみます。

第一。ホテルに数日以内。いわゆるホテル需要のほとんどはこれではないかと思われます。リピーターも含めて。
第五。住宅を契約して借りる。2ヶ月から半年以上となると、「住む」ことを前提に物件を探します。それでも永住するわけではないので、家具付きだとたいへんありがたい。日本にはあまりない物件かもしれません。また、「民泊」の視点からもどこからも漏れ落ちている気がします。
第二から第四。このあたりが民泊的範囲と思われます。短期側からいくと、
第二。ホテルは(一般人には)高く調理(レンジでチンも含む)もできないので、ちょっとした設備やサービス付きの「生活」が必要になってくる。コンビニというよりミニスーパーのようなものがあるとうれしい。
第三。ある意味第二と連続的ですが(感覚的には、第二の方はホテルの居室機能がやや生活寄りに。第三の方はちょっとした住宅にフロント機能がついた感じ)、2週間くらい。そうすると、「生活」の比重が高くなってくる。洗濯も必要だしミニスーパーというよりちゃんとしたスーパーがあるとよい。こうなると、まずは初日は買い出しに出かける。
第四。3週間を超え2ヶ月くらいになると、第三的なものでは短期すぎ、第五のような契約をするほどでもないくらいの滞在が必要になる。ロンドンで2ヶ月滞在した準郊外のタウンハウスは、ごく普通の静かな住宅街にあり、大家が平日には3階に暮らし週末には海辺の家に。2,1階を貸していて、最初の1ヶ月は2階。渡されたのは部屋ごとのカギ数個と玄関のカギ。つまり、ハウスの中では(半独立的)共同生活。後半の1ヶ月は1階がまとめてとれて、晴れて「庭付き」生活に。とはいえ、2階の住人もたまに降りてきて庭は共用。契約書ではなく1週間単位で家賃(ハウス代?)を支払う方式でした。今朝の日経の民泊関連記事でも「日本の家主と交流できたのが何よりの思い出」(p2)とあるように、このハウスの「共同生活」でもそうした交流が。むしろ家主が不在になる週末が心細くなるくらいでした。

どのような需要にも応えてくれる都市。長年かけて「永住者」側の住まい方も(量・質ともに)変わり、滞在者側の量も質も変わる。都市として賢く適応しながら「住みたい都市」へと進化していく。

その最初の段階を本日迎えたのかもしれません。

[関連記事]
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