「(東京都)防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案」のパブコメがはじまりました

東京都の防災都市づくりに関する計画は「基本方針」とそれにもとづく「整備プログラム」から構成されます。116日からはじまったパブコメは、これらのうち「基本方針」の改定案に対して意見を求めるものとなっています(2月17日まで)。

https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/bosyu.htm

主要なポイントとしては、2020年度までの「木密地域不燃化10年プロジェクト」の目標年がきたのでこの取り組みを5年間延長して、目標の達成をめざすという点。

 

こう書くと「そうか。もっとがんばるんだね」という印象が先にきますが、よく考えてみると、これは、2020年度までとした目標がまだ達成できていないのであと5年がんばる、ということ。ここでは、それがどのようなものかを数字で見てみます。

 

「木密地域不燃化10年プロジェクト」では、「整備地域」と定義した地域の「不燃領域率」を70%に引き上げることを目標としていました。もう少していねいにいうと、2011年に東日本大震災が起こったのを受けて、従来の目標年を5年間前倒しして特別な方法によって2020年度までに目標を達成するとの高めの目標を課したものです。一定の効果はあったのですが、「不燃領域率」を急激に上昇させることはそう簡単ではありません。

今回の改定案に示されている数字でみると、平成23年に58.4%だった「整備地域」の「不燃領域率」は平成28年に61.9%となりました。「不燃化特区」の立ち上がりは少しズレがあったこともありますが、5年間で3.5%。西暦に直すと201158.4%201661.9%、このままのトレンドでいくと202165.4%。ここから5年間延長したとして、202668.9%、というイメージが持てます。

不燃領域が増えるためには、自然に建物が更新したり空き地が増えるなどの要因と、その場面を着実にとらえて11つの更新を災害に強い性能をもったものにすることと、道路拡幅などを積極的に行ってその沿道の建物更新を促し防災性能を高める政策的な取り組み等が必要です。景気が悪くなれば建物更新も鈍りがちとなり、真剣に能動的な取り組みを行わなければ政策分の積み上げが小さくなる。また、「整備地域で70%」というのはあくまでトータルな平均値なので、地区間のバラツキや地区内部での偏りもある。さらにいえば、こうした「ボトムアップ」の指標に加えて、「バリューアップ(地域の価値向上)」の視点もますます重要になっています。

 

2020年度」という目標は達成できませんでしたが、次の5年間を意欲と希望と知恵をもって地道な努力を続けることがとても重要です。

 

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