「Single-Family Zoningを廃止すべきである」との議論が真正面からはじまりました【米】

在宅勤務でたくさん時間ができ、本日は、今アメリカではじまっている都市計画上の重要な議論に注目します。

 

「Single-Family Zoningを廃止すべきである」。

 

本ブログでもこれまでニューアーバニズム関係の動向や、中産階級が没落し格差拡大が深刻な都市問題をもたらしている近年のアメリカに注目してきましたが、JAPA(The Journal of The American Planning Association)の2020年第1号では、真正面から「Single-Family Zoningを廃止すべきである」との議論がなされています。

おお~っ。アメリカでもついにここまできたか。

 

少し説明すると、JAPAでは少し前から「Viewpoint」という論説・主張のコーナーを新設して、専門的すぎるがゆえに将来のあり方を語れない都市計画ジャーナルの限界を打ち破ろうとしています。本号では「Single-Family Zoningを廃止すべきである」という意味で同じ方向を向いた2件の「Viewpoint」が掲載されました。ほぼ同じ主張ですが、前者は、まずは総論でよいので「Single-Family Zoning(R1)を廃止するべきである」ことに賛同しようとの呼びかけ(賛同を得るための課題認識やこの提案の合理性の説明)に、後者は「Single-Family Zoning(R1)の廃止」に対して起こるであろう8つの反論に対して1つずつ反論の反論(というかその反論はご心配に及ばずとの説明)をするところに特徴があります。これら2つの「Viewpoint」のあと、いろいろな立場から(基本的にはサポート側)コメントが寄せられ、最後に2件の「Viewpoint」著者からコメントを受けた返答がある、という構成です。(なお、JAPAのこの号には他にも多くの論文論説等が掲載されている)

 

都市レベルではミネアポリスやポートランド、バンクーバーなど。州レベルではオレゴンやカリフォルニアあたりで、「Single-Family Zoning」そのものを改革する試みがはじまっているとの具体情報がたくさん書かれています。日本のことも「そんなに厳しくない」ゾーニングの(見習うべき?)例として一瞬出てきます。

先週、横浜市でも用途地域見直しに向けた小委員会での検討がはじまりました。

本記事ではこのテーマにからむ重要な前提や課題や国柄の違いや上記議論の詳細を省いていますが、ある意味、「ゾーニング」を合憲とした1926年のユークリッド裁判以来の、「100年に1度の大議論」にもなりうる動きととらえます。