『文明崩壊』を超えて

強い者(文明)が弱い者(文明)を滅ぼしていくプロセスを描いたのが『銃・病原菌・鉄』だったとすると、『文明崩壊』(ジャレド・ダイヤモンド著(楡井浩一訳)、草思社文庫(上)(下))は、文明が自ら崩壊してしまった過去の事例を地球上から複数選び出して、それらから導き出される普遍的諸要因の解明に迫るというものでした。後半はその教訓をもとに、これからそうならないよう警鐘を鳴らすというものですが、過去の教訓が将来にどれだけ活かせるかは別の話。

むしろ興味が湧いたのは、(作者の意図とは異なり)一度“崩壊”してしまってもまた立ち上がる人類のしぶとさ。そのようなことは『文明崩壊』には書いてないので、本ブログ的には「『文明崩壊』を超えて」としました。

例えばイースター島は一度“崩壊”したあと復活して現在の人口6600人。モアイ像を観光資源にしてしぶとく生きています。

グリーンランドも確かにある時期のノルウェー(ノース)人入植地は“崩壊”しましたが、そのあとデンマーク人が入植して現在の人口56000人。人口17000人の都市(ヌーク)だってできています。地球温暖化によって崩壊・溶解が加速する氷河(やクジラ)を見ようと観光客も増えているというのは手放しで喜べない気もしますが、、、

グリーンランドの最近の状況を描写した次の文章を読んで、グリーンランドに一度行ってこようかと思ったりもしています。

「気候変動が進む現在、グリーンランドの将来図を描くとき、牧畜や林業に加え、農業が話題にのぼる。南グリーンランドを中心に野菜作りも多くなっている。寒冷地に強いジャガイモの生産高が増えており、2012年にグリーンランド国内需要をほぼまかなうほどの100トンのジャガイモが出荷されたし、牧場の自宅菜園でも作られている。」(『アイスランド・グリーンランド・北極』明石書店2016刊、p56)