「都市探訪96」は、大井川鐵道にてちょうどピッタリその前に止まった「合格」駅の看板に驚き、さらに次が「門出」駅となっていることでただならぬ“意味”を感じ、何かありそうだと写真におさめたものです。実際、次の「門出」駅には普通の「駅」とは違う空間や人々の様子が漂っていました。これは何かありそうだと。
あとでわかったこと。
この「門出駅」は新東名高速道路金谷島田インターの開発に合わせて設置された大井川鐵道の新駅。前後関係は調べてみないとわかりませんが、想像すると、そもそもインターをどこに設置するかがミソで、かなり戦略的に鉄道との関係を早くから考えていたのではないか。たいていの場合、高速道路と鉄道がクロスしていても、単にクロスしているだけか、意識してウマミを引き出そうとしてもインター×駅舎×駅舎周辺開発がそううまくはいかない。どうしてもインターの施設設計は大がかりとなり、開発も大げさになり、駐車場も大規模化してしまい、なかなか人間主体の空間にならない。どうやらこの「門出駅」開発は、そのネーミングも含めて相当考えているように思える。
まだ「思える」段階のため証拠をあげるとすると、ちょうど昨日、門出駅複合施設「KADODE」の来場者が100万人となり、御前崎から来た加藤さん一家に記念日が贈られたと報道されていました。オープンが2020年11月なので1年4ヶ月で100万人。1年換算すると75万人。有名になった「三島スカイウォーク」がコロナで苦戦し年間70万人との数字と比較してもかなり健闘しているものと思われます。
長くなりそうなので、以下、心惹かれるポイントだけ書きます。
第一。大井川鐵道のさらなるブランド化とそれが沿線活性化にもたらす効果。「合格」駅は「門出」新駅開業に関連させて改名したものです。
第二。高速道路網×鉄道という21世紀型地域創造の可能性の追及。100万人目となった加藤さん一家の御前崎には「金谷御前崎連絡道路」という高規格道路が整備中です。
第三。そのコンテンツ。大井川流域の農業と深く関わっており、「お茶」のプレゼンテーションも見てみたいです。大井川鐵道のSL関連のシカケもファンにとってはたまらない出しものでしょう。駅舎そのものもカフェレストランになっているようで、1分前後と思われる停車時に感じた「普通と違う」感じは双方向のものだったのでしょう。
第四。その空間。駅開発といっても軽めのヒューマンスケール。中に入っていないので想像も含みますが、レトロな鉄道とさりげなくデザインされた空間の融合・調和をじっくり見てみたいです。
第五。開発・管理・運営方式。ここにも21世紀型の、何もしないとどんどん衰退していく地方(地域)再生の手がかりがありそうです。
第六。地域の生活へのインパクト。特に、「KADODE」は一般のスーパーと何が違うのか。地域に何をもたらしたのか。今後の可能性はどうか。
第七。他の地域への影響。羽沢横浜国大駅や村岡駅にとっても参考になりそうです。
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