ナイロビという都市が、ウガンダからモンバサに抜ける鉄道ルート上にあることから建設がはじまり、イギリスからの独立を果たす少し前までの、1899年から1960年までに、誰によってつくられたかを、具体的な場所や主体から目を離さず、じっくりと観察・分析することで、それはアフリカの人々によってであったという結論に達する希望の書。
Anders Ese and Kristin Ese著。Routledge,2020刊。
7章180頁の本編に続く「エピローグ」では、ケニア独立後のナイロビが語られ、今のナイロビに達しています。私たちはどうしても「fragmented city」などの見た目の名前を与えてしまいがちですが、そんなことはない、きわめてロジカルで一貫した特徴ある動きをしているのだと。一言でいえばそれは「people-centred city making」であり、「sense of ownership to the city among its many and varied residents」によりそれは可能なのだと。
私たちの都市であること。このことは、ナイロビに限らず現代のどの都市にとっても大切なことだと思います。さまざまな制約の中で、多様な主体に揉まれながらもしたたかに暮らすナイロビの人々の生きざまがたくさん描かれている本書を読むと、「sense of ownership」を成り立たせるいくつもの必須の要素が読み取れるはずです。
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【in evolution】世界の都市と都市計画(D-1 さまざまな「植民」形態と都市計画)に本記事を追加しました。
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20170309/1489041168