「2020年」と復興

「2020年」は東日本大震災からの復興とどうかかわっているか、3つの材料から考えてみます。
1つめは、実感としての復興の完了時期です。2013年3月1日の朝日新聞に掲載された「被災42市町村アンケート」結果では「復興の完了時期は?」の設問に対し、(今後)「6〜10年」とする市町村の回答が多く、これは被災から8〜12年となります(2019〜23年)。およその中心が2020年頃とみることもできます。ただしバラツキがあり、仙台は例外的に「3年以内」(2016年まで)としていたのに対し、原発に近い町では「無回答・わからない」や「11〜15年」(2024〜28年)が中心でした。
2つめは、復興計画の計画期間です。国の「東日本大震災からの復興の基本方針」(2011.7.29決定、8.11改定)では、「復興期間は10 年間とし、被災地の一刻も早い復旧・復興を目指す観点から、復興需要が高まる当初の5年間を「集中復興期間」と位置付ける」としています。各自治体ではこれを踏まえて、被災から10年間となる平成32年度(2020年度)までを計画期間とするところが多くなっています。例えば南相馬市は「計画期間は、平成23 年度から平成32 年度までの概ね10 年間とします」(『南相馬市復興計画』平成23年12月)とし、「計画期間である10 年後(平成32 年度)には、震災前の予測人口6万2千人よりも増加させることを目指します」という数値目標を掲げています。ただし、平成30年度(2018年度)とする復興計画などもいくらかみられるほか、仙台市では「国の動向と整合を図りつつ、一日も早い復旧・復興を目指すとともに、早期の復興により東北全体の復興を牽引するといった観点から、震災復興計画の計画期間は、平成23 年度(2011 年度)から平成27 年度(2015年度)までの5年間とします」としています。
3つめは、国が「集中復興期間」としている当初の5年間と強く関係する復興特区法の考え方です。その立法過程の参議院本会議での質問と大臣の答弁をそのまま引用させていただきます。(H23.11.30議事録より)
(質問)「この法律自体は時限立法ではなく恒久法であり、一方で、附則第二条には五年後の検討条項が置かれております。申すまでもなく、一日も早く被災地の復旧・復興を実現することが必要でありますが、現在の被災地の状況を踏まえれば、本格的な復興までには大変な時間が掛かることも想定されます。政府として、復興特区法により被災地の復興を図っていく期間をいつごろまでと想定しているのか、こういった想定がなければ最終的にどの程度の規模の支援が必要になるのかといった見通しも立たないのではないかと思いますが、政府としての考えをお伺いいたします。加えて、法施行後、五年後の検討に当たってはどのような観点から見直しを行っていくのか、お聞かせください。」
(平野大臣)「復興特区法による復興支援の期間と特区法の施行後五年以内の検討について御質問をいただきました。本年七月に策定された東日本大震災からの復興の基本方針においては、復興期間を十年としまして、被災地の一刻も早い復旧・復興を目指す観点から、当初の五年間を集中復興期間と位置付けております。政府としましては、この復興期間を目安としつつ、インフラの応急復旧の実施、地域の復興計画の早期策定に向けた支援、インフラ等の整備スケジュールを明示した工程表の作成、公表等により、被災市町村、県と共同して早期に向けて鋭意取り組んでいるところであります。法律の施行後五年以内の施行状況の検討に当たりましては、このような各地域の復興の進捗状況を把握しまして、東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進を着実に達成していく観点から、被災地のその時点における復興の実態を踏まえまして所要の検討をしていくことになると考えております。」