RECONSIDERING LOCALISM

SIMIN DAVOUDI AND ALI MADANIPOUR編著、ROUTLEDGE、2015。
ローカリズム」という概念や実践、およびそれに伴う可能性や課題について、世界的にみてもこれまであまり(ほとんど)検討がなされてこなかったと位置づけながら、この分野に接点のある専門家らが14の議論を展開している貴重な図書です。
編著者の2人は、本ブログの右帯下方のリンク「Localism and Planning」の上のほうにある、“批判的・批評的議論”の主要著者。以下に“批判的・批評的議論”を再掲します。
 http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20110811/1313039970 (2011.8.11記事)
 http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20131114/1384426667 (2013.11.14記事)
 http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20140121/1390275199 (2014.1.21記事)

ローカリズムということで、地域民主主義的には結構なことではないか、との楽観論もなくはないのですが、そこにはさまざまな課題もあり、それらをトータルに論じたはじめての図書。議論はイギリス国内(イングランド)にとどまらず、アメリカ(第4章。デンバーの事例はたいへん興味深い)やオランダ(第7章)も。こうした文脈からは、コロンビアのメデジンの事例など(⇒参考記事)にも通じるものがあります。「近隣」というものが独立してあるのではなくむしろ他とつながりあってこそ活かされるのだという観点や、がんばれる近隣がある一方で疎外されていく近隣もあるという事実をどう都市計画システムの中でフォローしていけるかといった観点など、主として都市における近隣計画のあり方を論じたものです。

[参考記事]
・SOCIAL URBANISM AND THE POLITICS OF VIOLENCE (都市イノベーション開墾 第16話)
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20151201/1448941928
・LATIN AMERICAN URBAN DEVELOPMENT INTO THE 21st CENTURY (都市イノベーション開墾 第17話)
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20151202/1449040479