476年に西ローマ帝国が崩壊したあとの、地中海を中心とする当時のヨーロッパ/オリエント世界の、キリスト教/イスラム教勢力の攻防をめぐる歴史ストーリー。1453年にコンスタンティノープルが陥落するまでの約1000年が描かれます。塩野七生著。いずれも文庫本で読みました。きっかけとなったのは、本年1月、2月に文庫化された『十字軍物語』。
必ずしも都市だけを扱ったわけではありませんが、イスラム勢力圏の拡大とイスラム都市の生成、迎え撃つキリスト教世界。なかでもイタリア海洋都市国家間の確執と盛衰、ベネチアという最強国(都市国家)の果たした大きな役割などなどが、手に取るように実感できます。
15世紀にスペインが勢力を伸ばし、あの1492年につながる頃(⇒関連記事)までのストーリー。
こうした大きな流れをつかむと、各地に「都市」として残された空間の中に年輪のように積み重なった歴史の証を読み取る大きな手がかりを得たように思えてきます。また、当時の「都市」「都市国家」「帝国」がどうやって生まれ、維持・拡張され、陥落・崩壊していったか、その空間構造や統治形態がどのようなものだったか、争い事と商売はどう両立できたか、などについても読み取ることができます。あくまで「歴史ストーリー」としてですが。
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本記事を「世界の都市と都市計画」(中世都市の創発的進化) に入れました。
https://tkmzoo.hatenadiary.org/entry/20170309/1489041168