【Urban Walk】(川辺を遡る)竹芝から渋谷原宿まで (都市は進化する199) [2024.1.19更新]

新しいUrban Walkを本日スタートします。
Vision 2034 Tokyo」の最初の部分を構成します。
1つ前の「 (尾根を下る)新宿御苑から竹芝まで」とペアになります。Urban Walkの目的・目標は(尾根を下る)と同じですが、目撃することになる対象の「見方」が対になります。

(川辺を遡る)は海からスタートし「背骨」に達するまで探訪します。
部分からはじめ、次第につながりをつけていく計画です。

-----------------

下図がこれから遡ることになる「古川」の流域図です。途中で名前を変えたり分岐していきますが、「流域」としてとらえると、渋谷区の大半(甲州街道以北を除く)、港区の2分の1から3分の1ほど(湾岸の埋め立て地は除く)、目黒区、品川区、新宿区のごく一部を範囲とします。
新宿区の一部というのが新宿御苑のあたりに到達していて、対になる「尾根を下る」はこの新宿御苑をスタート地点として尾根沿いに下ります。この尾根の南側が古川流域。

実は「流域」とはいえ、点々で表示されているのは「下水道」となっています。また、下水は途中から人工的な下水道幹線によって処理場(⇒芝浦水再生センター)にバイパスしているので図上には表示されていません。

 

さて、いくつか揃ってきたコンテンツをもとに「川辺を遡る」の構成を考えると、とりあえず以下の3層になりそうです。

第1層 河口部から実際に遡りはじめる
第2層 川辺再生の目に見える取り組みに着目する
第3層 よく見ないと見えないが再生しつつある生態系などに目を凝らす

-----------------

第1層

渋谷川⇒古川と「水は海に向かって流れる」その河口部。
まず見に行く人はいない「古川河口」は物流が行き交う高速道路の下にあります。後ろを振り返ると東京港で、竹芝桟橋と日の出桟橋の接続部になっており、港の様子をもっともゆったりと感じられる場所になっています。

その古川を遡るといってもバリアだらけなので、まずは「橋」に着目することにしました(⇒古川再生への手がかり(その1))。

 

-----------------

第2層

渋谷川へと入り、さらに遡っていくと渋谷駅に近づきます。
現代の「川」は護岸もさることながら水そのものも人工的なもので、再生水を流すことでようやく川らしき雰囲気となっています。数年前にオープンした「渋谷ストリーム」の「ストリーム」は渋谷川の流れ(の復活)を意識したもので、実際、それまでもう少し下流部で放流していた再生水をこのあたりから流すことで、渋谷川の存在を目に見えるようにデザインしています(⇒「人工水量」)。少し下流方面へと戻ると、再生に向けたさまざまな試みがなされています(⇒「一歩一歩」)。よく見てみると、単なる「デザイン」というよりも、新しい生態系ができるようにとハード面の工夫をしているようで、新しい都市再生の芽が出てきそうな予感がします。

 

----------------

第3層

清流の指標として「メダカ」が生息していることなどがあげられますが、「カワセミ」が復活していることをテーマにした図書が出ました(⇒『カワセミ都市トウキョウ』)。ある意味、「川辺を遡る」の究極の場所であり目的でもある、よく目を凝らさないと見えないけれども大都会の真ん中で起こっている生態系の再生メカニズムを、カワセミを主役に据えながら分析・考察した希望の書です。

このことは『都市と緑の人類史』(青土社、2023.11.10刊)を読むとより包括的に語られています。

 

 

 


🔖検索    「Urban Walk