【Urban Walk】(尾根を下る)新宿御苑から竹芝まで (都市は進化する198) [2024.3.13更新]

新しいUrban Walkを本日スタートします。

Vision 2034 Tokyo」の最初の部分を構成します。

Tokyoは、武蔵野台地の突端に江戸城が開発・建設され、甲州街道-新宿御苑(北)-半蔵門を結ぶ尾根が都市の「背骨」のようになって、そこから「小骨」がクラスター状に北東方向と南東方向に枝を伸ばしつつ、小さな尾根に沿って下っていく都市構造となっています。尾根は、江戸を都市計画する際、多摩方面から上水を引っ張ってきて市街地にサービスした。使われた水は下水となって「水は海に向かって流れる」。この「背骨」にあたる場所からスタートして海に至ります。

〇「尾根を下る」ときの見どころ
「尾根を下る」の出発点とした新宿御苑の標高は35メートルほどあります。「尾根を下る」Urban Walkは、この35メートルから0メートルまでの、たった35メートルの落差の間にストーリーを見つけ出し、見える化し、それを都市の豊かさとして共有し、できれば守るべき/めざすべき規範・ビジョンへと近づけることをめざします。

候補をあげると、

①庭園…名園を観察すると、尾根道から入り、標高の「落差」を利用して豊かな空間としている。「尾根を下る」の出発点としている新宿御苑はその代表格といえる。

②上水道…水源地から運んできた「水」にとって標高をできるだけ失わないようにしつつ最大のサービス面積を確保することが重要。今でも「◯◯用水」「◯◯上水」の名残があり、モノとしての文化的価値があるばかりか、現在の上水道網は大規模災害時の消化や飲料水として「命の水」となる。

③枝道の多様性…メインの尾根からはじめて枝分かれする道は多様。下るにつれ遷移する用途も多様だし、下り方そのものも、展開する景観も多様。場所そのものに意味が伴うことも多い。

④つながり…尾根道そのもののつながりも重要。今回設定した道は「海の辺」から「丘の辺」を横切り内陸部へと至る主要路。

⑤文化的な「顔」…主要な(特に文化的)都市機能を串刺ししている。

⑥「川辺を遡る」へのつながり…「水は海に向かって流れる」ため、並行して「川辺を遡る」ルートが必ずある。特に③は、いずれ「川辺を遡る」と交わる。

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例1 これは上記④の見方

『かえよう東京』(鹿島出版会、2017)のp113で、「補助4号線」に着目しているのを見つけました。この線がだいたい、下図「尾根を下る」に対応している。現在、海側から神宮外苑や国立競技場方面にいこうとすると、かなり大回りしないと行けないイメージがありますが、この「補助4号線」は(空のゲートウェイでもあり海のゲートウェイともとらえる)浜松町からスッと東京タワーを経て青山1丁目交差点まで引かれている。ではなぜ「かなり大回りしないと行けないイメージ」になっているかと考えると、この「補助4号線」はところどころが未完成で標高差もいくらかあり、その存在に気づきづらくなっている。
ということから考えると、「海から内陸へとつながる歩きたくなる軸のようなものを日常的な意識にあらわれるようにすること」というテーマがあるといえるかもしれない。

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例2 出発点の新宿御苑。これは①そのもの。

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例3 これも④の要素。
東京タワー前の坂を下ると芝公園の裏手に出ますが、そこから大門方面のつながりが現状では弱く、人の流れが途切れ途切れです(⇒増上寺の蝋燭能)。
増上寺までくると、あとは道路上にデンと構える「大門」をくぐり浜松町駅を経て港まで一直線です(⇒「海のゲートウェイ : 新竹芝―新浜松町」)。

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例4 これは上記③と特に関係します。

『見えがくれする都市』(槇文彦他著、鹿島出版会SD選書162、1980.6刊)を再読しました。(⇒『見えがくれする都市』再読)

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