隔年開講の「市街地創造論(大学院向け)」が5月12日に開講します

コロナウイルスの影響で、5月7日からと延期された本年度の春学期では、対面式の授業は行わずすべて遠隔授業となります。本授業も例外ではありません。

第1回が、ちょうど1か月後の5月12日(火曜)となります。

 

本ブログ的には、「都市イノベーション」「住みたい都市」「災害に備える」「東日本大震災」と特にかかわります。

「1」がイントロダクション。

「2」から「5」で中心市街地の再生を議論します。「2」では公民連携(PPP)が、「3」では市街地再開発が、「4」では建築家と都市計画が、「5」では被災市街地の再生が中心テーマとなります。市街地そのものの開発、再開発、再生、創造という、「つくりかえる」都市計画といってよいかもしれません。

「6」から「8」は「市街地の継承と進化」としています。「現状の良さを伸ばし、課題があれば同時に解決する」都市計画です。「8」はこの春に検討がはじまったホットなテーマで、結論というより課題認識や見直しの糸口のような話になると思います。

「9」から「12」は、「1」~「8」の個別課題を超えて、「新たな都市構造の模索」という都市計画本来の基本テーマを軸に市街地創造を議論します。「9」と「10」は2020年春の国会に改正法案が提出されていて、「10」の方は2019年秋の大水害のような災害に都市計画がどう立ち向かえるかというテーマ、「9」の方は「1」~「8」のような市街地創造の際に、どうやって「歩いて楽しい」市街地を実現できるかというテーマです。「11」は市街地から人口が抜けて「スポンジ化」していく際にも、地域固有の魅力を発掘・再認識しながら単なる「コンパクトシティ」のような単純なイメージを乗り越えていく方途を議論します。「12」は長年かかわっている三島市の都市計画のなかから中心市街地への取り組みを「新たな都市構造の模索」の文脈でお話します。

「13」と「14」は世界の都市計画の中から対照的な市街地創造事例を取り上げます。

 

さて、どうやって意義ある「遠隔授業」に仕立て上げることができるか、、、(ご期待ください)

 

 

■全体の流れ

1  日本のこれまでの市街地形成と課題
2 中心市街地の再生(1)オガール紫波
3 中心市街地の再生(2)高松丸亀商店街
4 中心市街地の再生(3)日立駅前
5 中心市街地の再生(4)被災市街地の再生 大槌/陸前高田/他
6 市街地の継承と進化(1)代官山のまちづくり
7 市街地の継承と進化(2)横浜山手のまちづくり
8 市街地の継承と進化(3)横浜市用途地域の見直しをめぐって
9 新たな都市構造の模索(1)「立地適正化計画」と歩いて楽しいまちづくり
10 新たな都市構造の模索(2)「立地適正化計画」と減災・防災
11 新たな都市構造の模索(3) 横須賀谷戸地域の再生
12 新たな都市構造の模索(4) 三島市の都市計画の動向
13 住みたい都市ポートランドの都市づくり
14 世界都市をめざすドバイの都市づくり
15 まとめ(レポート提出に代える予定)

 

地域連携にかかわる3冊の報告書が出ました

地域連携推進機構、地域実践教育研究センターから3冊の報告書が昨年度末に出ています。

 

・地域実践教育研究センター 2019年度 Annual Report

毎年出ているレポートで、地域実践教育研究センターの1年間の活動の様子がつかめます。

http://www.chiki-ct.ynu.ac.jp/annual-report2019/

 

・地域実践教育研究センター 地域課題実習・地域研究報 2019年度

学内で2019年度中になされた「地域」関連の研究成果を集めたものです。これですべてというわけではありませんが、さまざまなフィールド等から得られた貴重な成果です。

http://www.chiki-ct.ynu.ac.jp/research-report-2019/

 

・地域連携推進機構 Next Urban Lab 成果報告2017-19

横浜神奈川地域をフィールドに行われている地域連携活動(教育研究)を「Next Urban Lab」というシクミで可視化してきた3年間の取組み成果報告です。第1部(成果概要の分析)と第2部(ユニット報告)から成り、冒頭には地域連携推進機構の紹介も掲載されています。

http://www.chiiki.ynu.ac.jp/news/000084.html

 

 

「3密」と都市計画

コロナウイルスの蔓延を防止するために「3密」を避けること。これは、都市そのものの特性を(一時的に)否定することでもあります。都市の存在そのものが脅かされている感覚が恐怖感(と同時に悔しさやもどかしさ)を増幅します。

けれども都市に人口が集中し都市問題が深刻になった際に登場した近代都市計画は当初、公衆衛生の観点からさまざまな施策を行い都市に介入。その積み重ねにより先進国では都市に健康に住むことが可能になった、、、

そう考えると、都市計画もコロナウイルス対策とつながっているのではないか。「3密」がそれを考える手がかりになるかもしれない。

ということで、結論が出てくるかは不明ですが、少しずつ考えてみます。在宅勤務による都市体験もいくらかは役立つかもしれない。

 

密閉、密集、密接。

仮に考えるための出発点を仮説的に書き出してみると、

密閉。都市化による空間のつくりは次第に密閉の方向にある。技術の進歩により人間の快適さなどのため密閉空間をつくり人工的な密閉環境が増大。従来人間に備わっていた換気能力も機械任せとなり衰弱。

密集。近代都市計画の基本は密集の防止にあった。新しくつくるものの基準が次第に向上。既にできてしまったものは公的介入により除去。公衆衛生基準だけではカバーできない部分は住居法をつくって過密居住を防止。 その一方、近代都市計画は郊外への拡張を推進し、密集を減らすことが基本だった。

密接。そのように都市全体としては密接の機会を減らす方向なのだが、密接は都市の存在意義そのもの。「にぎやかさ」はむしろ計画されてきた。繁華街とはそのような所。オフィス街は「にぎやかさ」を追い求めたわけではないが、結果において密接を増幅。コンパクトに詰め込まれたその場所も、そこにアクセスする大量の人も。グローバル経済化により東京やニューヨークなどの世界都市はますます密接をつくり出す場所に。

 

今後、これらの素朴な仮説に難問をぶつけ、都市をよりレジリエントにする都市計画はないものかと探ってみようと思います。

 

 

 

「ブータンの国民総幸福度指標(GNH Indicators)の変遷に関する研究」(GNHと都市計画(その3))

まだ2019年度だった2週間ほど前のこと。ブータンのGNH政策について研究していたY氏が学位を取得して修了されました。標題の研究はその一部をしめるもので、いわゆる「幸福度」を測定するためにどのように指標の開発がなされてきたのかを分析したものです。

「GDPに代わる指標が必要だ」ということで、各国でさまざまな試みや提案がなされてきましたが、政策体系としては断片的なもの、あるいは一部にとどまるものが多い中で、まがりなりにも国政レベルで体系的に新たな指標を整備・開発・普及・活用してきたブータンという国。決して既に皆が幸福というわけでなく、さまざまな政策や公共投資を行い活動の成果を評価する際に「GNH」を重視しましょうというアプローチです。

 

緊急事態宣言もなされ、「先が見えない」どころか「明日もわからない」ような日々。

GNHと都市計画」「GNHと都市計画(その2)」とともに、いつか思い出していただければ幸いです。

 

[参考資料]

・J-Stageのアドレスです。昨年秋に出ています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/54/2/54_102/_article/-char/ja/

 

「SDGs時代の都市計画を考える~グローバルな視点から」:Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable

地震に洪水、津波にウイルスと、都市は次々に災害に見舞われています。都市計画の要となる都市計画法は日本では1968年に制定されたまま接ぎ木に接ぎ木を重ね、そこにおさまらないものは別の法律をつくって「都市計画関連法」が次々と増え、現在、国会に提出されている都市再生特別措置法改正案もその1つとなっています。

 

昨年9月9日朝。新たな図書企画『SDGsを実現するまちづくり』の自分の担当部分についての打ち合わせ場所は、ちょうど千葉付近に上陸した台風15号のため店員が到達できず閉店状態。電車も止まってしまい打ち合わせ相手ともしばらく連絡がとれず、茫然。

そんな中でスタートした『SDGsを実現するまちづくり』が4月11日に発刊の運びとなりました。プログレス刊(⇒関連資料)。その中で、SDGsと都市計画を結びつける「SDGs時代の都市計画を考える~グローバルな視点から」という少し長目の論考を書きました。その趣旨あるいはそこで考えようとしたことについて少し綴ります。

 

冒頭に書いたような状況にある日本の都市計画の将来を考える際、「日本の」をはずして「都市計画の将来を考える」としたらどうなるだろうか。今日、世界はグローバル化しており、今まさに都市が襲われているコロナウイルスも極めて速く(人間にくっついて)世界を移動。経済もライフスタイルもそうです。

「SDGs」はそうしたグローバルな課題を考えるための手がかりになる。なかでも本記事のタイトルの後半にある「Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable」(17のゴールのうち11番目の柱)そのものがこれからの都市計画の目指す方向ではないか。たとえば3つ目の「resilient」は、本ブログの3つ前の記事でとりあげたばかりで、これがしっかりしていないと、どの都市も(想定外の)大きな変化に対応できない。「sustainable」だけではとても足りない。昨日の記事「Single-Family Zoningを廃止すべきである」というアメリカでの議論は、それが格差拡大の原因をつくっているという、都市計画が「inclusive」に反していることへの自省にもとづくもので、さらにこの都市計画によって都市が果てしなく郊外に広がり「sustainable」でもないという近代都市計画への猛省のあらわれといえる。

 

そんなわけで、「SDGs」と「都市計画」をつなげ、「SDGs時代の都市計画を考える~グローバルな視点から」について書いたのが本稿です。具体的には、「グローバルな」ということで、アフリカとイギリスと日本の都市計画を「SDGs」という同一のゴール(目標)のもとに並べ、先進国-途上国のようなステレオタイプのものの見方に陥ることなく、同時代的な課題を解決しようとする「都市計画」の現状や課題や解決への糸口について整理しようとチャレンジしたものです。

 

[関連資料] (⇒Progress社のHPへ)

『持続可能な地域創生 SDGsを実現するまちづくり』

 

 

 

 

「Single-Family Zoningを廃止すべきである」との議論が真正面からはじまりました【米】

在宅勤務でたくさん時間ができ、本日は、今アメリカではじまっている都市計画上の重要な議論に注目します。

 

「Single-Family Zoningを廃止すべきである」。

 

本ブログでもこれまでニューアーバニズム関係の動向や、中産階級が没落し格差拡大が深刻な都市問題をもたらしている近年のアメリカに注目してきましたが、JAPA(The Journal of The American Planning Association)の2020年第1号では、真正面から「Single-Family Zoningを廃止すべきである」との議論がなされています。

おお~っ。アメリカでもついにここまできたか。

 

少し説明すると、JAPAでは少し前から「Viewpoint」という論説・主張のコーナーを新設して、専門的すぎるがゆえに将来のあり方を語れない都市計画ジャーナルの限界を打ち破ろうとしています。本号では「Single-Family Zoningを廃止すべきである」という意味で同じ方向を向いた2件の「Viewpoint」が掲載されました。ほぼ同じ主張ですが、前者は、まずは総論でよいので「Single-Family Zoning(R1)を廃止するべきである」ことに賛同しようとの呼びかけ(賛同を得るための課題認識やこの提案の合理性の説明)に、後者は「Single-Family Zoning(R1)の廃止」に対して起こるであろう8つの反論に対して1つずつ反論の反論(というかその反論はご心配に及ばずとの説明)をするところに特徴があります。これら2つの「Viewpoint」のあと、いろいろな立場から(基本的にはサポート側)コメントが寄せられ、最後に2件の「Viewpoint」著者からコメントを受けた返答がある、という構成です。(なお、JAPAのこの号には他にも多くの論文論説等が掲載されている)

 

都市レベルではミネアポリスやポートランド、バンクーバーなど。州レベルではオレゴンやカリフォルニアあたりで、「Single-Family Zoning」そのものを改革する試みがはじまっているとの具体情報がたくさん書かれています。日本のことも「そんなに厳しくない」ゾーニングの(見習うべき?)例として一瞬出てきます。

先週、横浜市でも用途地域見直しに向けた小委員会での検討がはじまりました。

本記事ではこのテーマにからむ重要な前提や課題や国柄の違いや上記議論の詳細を省いていますが、ある意味、「ゾーニング」を合憲とした1926年のユークリッド裁判以来の、「100年に1度の大議論」にもなりうる動きととらえます。

 

 

 

 

エール:「検証『2050 日本復活』」を2020年に検証する

今週スタートしたNHK朝ドラ「エール」。「あなたの音楽にどれだけ勇気づけられたことか」との長崎の方の言葉に主人公が励まされるシーンに、9月まで続くこのドラマのエッセンスが詰まっていました。(解説:主人公は、1964年オリンピック開会式用に作曲した音楽に自信が持てず競技場控室で悩んでいた。主人公は1949年に「長崎の鐘」を作曲。福島市出身。傍らにいる元気な妻は豊橋市出身。)

 

さて、都市計画の立場から「ポスト・カオス」の指針となるような「エール」のようなものはないだろうか。一昨日の「レジリエンス」が、備えるべき、高めておくといざというときに発揮できる個人や社会や都市の「力」「能力」だとすると、ビジョンや指針になるものは何か。

 

『2050 日本復活』という図書があります(2016.8.28記事)。

あまりに超長期すぎて、実際の都市ビジョン策定などの場面では「お話」程度にしか扱えない「2050」年のビジョンがなかなか鋭く、かつおもしろく語られているので、5つのテーマに分けて「検証・『2050 日本復活』」を書いたのが2016年9月。

その「検証・『2050 日本復活』」を読んでみると、今、「レジリエンス」力を発揮しながらめざすべき方向、もうすこしていねいにいうと、これから短期にやってくるさまざまな苦境に対処する際に同時に視野に入れておくべき、中長期・超長期のさまざまな手がかり・要素が、「2050年の状態」「その状態に至るプロセス」「その状態に至るきっかけとなった出来事」などの語りによって示されています。

 

今、遠隔授業や在宅勤務の修行中。都市とのつきあい方が全く変わりそうです。1か月前には「SF寸前」と評されてもおかしくなかったこの図書も、今は、「少し真剣に考えてみよう、考えるだけでなく実行しよう(既にしている)」という内容に変質しています。

 

[関連記事]

『2050 日本復活』

検証・2050日本復活(5)創造・創出化

 (1)(2)(3)(4)は直前の日付の記事(2016.9.1~4)

 

 

 

 

カオスに立ち向かうために : 『レジリエンス あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』再読

2020年3月31日朝。

やられっぱなしではなく、「撲滅してやる」のような一本調子でもなく、具体的かつ現実的な方法はないだろうか。過去にすがるだけでなく、未来志向で希望のもてる、自分たちの力を最大限活かせるような道筋。

昨日、遠隔ゼミや遠隔授業などもできるようにならなければ行き詰まりそうだとの自覚のもとに、慣れない自分を叱咤激励して対応を試行錯誤しはじめました。

 

まだ2019年度最後の朝に思い出したのが本書、『レジリエンス  あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』です。リーマンショックのあとに出た図書で、本ブログでも取り上げ要点がすぐにつかめるのでまずはご参照ください(⇒関連記事)。

この記事の後半では各論の方に関心が向かっていますが、今、手にとってみると、「序章」にまとめられた「レジリエンス」そのものの考察が、今の状況を切り抜けようともがく私たちに力を与えます。

 

ここでは、序章の構成の概要のみ。

タイトルは、「レジリエンスとは何か」。

第一パート。「現代では災害や大混乱を避けるのは難しい」「ではどうすればよいのか」ときて、「レジリエンスを定義する」。

第二パートは「レジリエンスの必要条件」。2つの要素「フィードバック-危険な変化を察知して対応する」「資源とプロセスの脱集中化」について整理。そのあと類似概念(頑強性・冗長性・元の状態への回復)との差違を整理。1つ1つが思考を鍛えます。

第三パートは「個人と集団のレジリエンス」。内容は、「レジリエンス思考の効能」「レジリエンスでは全体論的アプローチが重要-ただし無駄も多い」「システムの循環とネットワーク」。1つ1つが重いです。

第四パートが「サステナビリティの落日」。万能すぎる「サステナビリティ」だけでは現代の課題に対処できないことが議論されます。

 

明日から2020年度。

本書の「序章」の内容は「都市イノベーション・next」そのものの根幹的議論。本ブログの「都市イノベーション」も今回で通算444話となり、500話の最終回にだんだん近づいてきました。

レジリエント思考で、今日も試行錯誤したいと思います!


[関連記事]
https://tkmzoo.hatenadiary.org/entry/20130430/1367296701

 

 

 

羽田空港アクセス線と羽田空港第五滑走路

2020年3月31日をもって、京浜急行品川駅下にある「京浜ストア」および「品達(複数のラーメン店等がモールとなっている部分)」が閉店します。「品川フィールド(その3)」で6)番としている「京浜急行連続立体化事業(特に品川駅部分平面化事業)」がスタートするためです。(⇒詳しくは「品川フィールド(その3)」へ)

「コロナウイルスの影響で毎日の変動が激しく、先のことまで考えていられない」ことと、「長期ビジョンを描きそれに基づいて着々と事業を進める」こととの両立をはかりながら、修正すべきは修正し、新たに取り入れるべきことは果敢に取り入れる。人やモノや情報がグローバル化したあとの2020年代(以降)はもしかすると、こういう状態がより日常的になる、あるいはそうでなくても繰り返し起こるような時代になるのかもしれません。

2020年3月29日からはじまる都心上空から羽田空港への降下も、そのような複雑で流動的なバランスの中での、決して「終点」ではない、持続的な取り組みが必要な都市計画上の重要なテーマととらえたいと思います。

 

羽田空港の国際機能を(再)強化する。

昨年5月、「羽田空港アクセス線」事業の環境影響評価手続きがはじまりました。下記東京都の資料の359番です。

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/assessment/information/projects_list/jg_list.html#103

これにより、羽田空港アクセス線の具体的事業内容がわかるようになりました。1)千葉方面(京葉線)から「りんかい線」を経由し八潮の東京貨物ターミナル(改良)を経て、新設される羽田空港までの新線を通るルート、2)埼玉・東京多摩方面から埼京線を経由して大崎の先で東京貨物ターミナル方面に接続させる小区間を新設してそのあとは1)と同様に羽田空港に至るルート、3)東京都心方面(上野東京ライン)から新橋駅を経て田町駅付近から一度地下にもぐり、1)からくるルートと合流するように東京貨物ターミナルを経て新線に乗り羽田空港に至るルートです。

2020年代のうちにギリギリ開通できるとの想定ですが、特に3)番の「新橋駅を経て田町駅付近から一度地下にもぐり」の部分が、実は東海道本線の横に分岐路をとるスペースが現在無く、複数の線路を1つずつずらしていきスペースを確保する、という工事内容になっていて、時間がかなりかかります。それでも、高輪ゲートウェイ駅の場合がそうだったように、線路を1本ずつずらしていき、ついにはスペースを生み出すという方法はよくある話。本当に地道な作業です。

 

こうしてアクセス線が3本ともできると、首都圏の各方面から大量輸送がかなり時間も短縮して可能になり、羽田空港機能増強を下から支える、というものです。

これに対して空港自体の「第五滑走路」は離着陸のキャパシティーを増強するもの。同時に、2020年3月29日からの都心上空飛行による問題を解決または大幅緩和するものであってほしいと思います。こちらのほうはずっと検討中で、まだどうなるかは公表されていません。